ご利用者様インタビュー:山本さん

お子さんが幼稚園生の頃から、レジスポに通っている山本さん。
レジスポに通うまでの経緯やお子さんの変化など、たくさん語っていただきました。

―― まずは、お子さんのことについてお聞きしたいと思います。お子さんの年齢はおいくつですか?
お母さん 8歳です。小学校2年生の女の子。
―― レジスポに通いはじめてから、どれくらい経ちましたか?
お母さん 子どもが幼稚園の頃からなので、だいたい2年くらいかと思います。
―― レジスポに通うことになった経緯などを聞きたいのですが。こちらに通う前に、他の児童デイや療育サービスの利用などはありましたか?
お母さん 子どもに場面緘黙があって、幼稚園のほうで発達が気になるということで、はじめはたんぽぽ園(こちら)につながりました。そこから療育がスタートしたかたちです。
―― その後、どういった経緯でレジスポの利用となったのでしょうか?
お母さん たんぽぽ園に通っているとき、この子が何にもチャレンジすることができず、学校でも固まっているような状態でした。
どうしたらいいのかと悩んでいたんですが、本人の好きなことだったらやりやすいのかなと思って、「運動とかがある療育ってありませんか?」と、たんぽぽ園の先生や保護者の方に聞いてみたんです。そしたら、ここの存在を教えてくれた。それで、「じゃあ見学してみよう」と。
ほんとは、最初は体操教室などを探していたんです。でも、普通のところだとまだ早いかなって。本当はできるんだけど、集団になるとできない。でもここ(レジスポ)だと1対1だから。
―― 能力はあるけど、場面によって、出せたり出せなかったり。
お母さん そうなんです。なわとびもできるのに、幼稚園の設定保育だとやらないから、「できない」という評価になっちゃったりして。もったいないなぁ、と。
―― その結果、自分のなかで苦手意識をもってしまう側面がありますもんね。お子さんは、昔から体を動かすことが好きだったんですか?
お母さん 好きでしたね。公園遊びとかが好きだったので、もともと。
―― そんななか、スポーツに特化した事業所としてレジスポに出会ったということですね。
お母さん 場面緘黙なので、なかなか言葉が出ないという部分がこの子にはあります。そこで、本人が運動好きというのもあり、本人の得意なものを活かしながら関わりを持てたり、自信に繋げたいと思っていました。
また、「レジリエンス」という言葉にも惹きつけられました。彼女はストレスに弱い部分があるのですが、気持ちを盛り上げる力、立て直す力を持ってほしい、というふうに母として思っていました。
―― 体を動かすという得意なことを活かしながら、レジリエンス(立て直す力)を培っていってほしいと。
お母さん はい。苦手なものにチャレンジしたり、出来たときの達成感を味わってほしいなって。長所や好きなことを伸ばしていきながら、苦手な部分も乗り越えていく、というふうに。
―― 実際に紹介されてレジスポに来たとき、どういった印象でしたか?
お母さん まさに、「居場所がここにある!」と思いました。
1対1で、先生との信頼関係もつくりやすいですし。あと、一人の先生で固定するのではなく、毎回変わる、というのがよかった。一人だけに固定されちゃうと、他の人とはやらなくなるタイプなので。毎回変わるから「そういうものなんだ」と受け入れた上で活動ができるんだと思います。
―― 通うと決めるときに、お子さんの反応はどうでしたか?
お母さん 本人にとっても、個別だから良かったんだと思います。もしこれがはじめから複数だとやらなかったかも。
それと、レッスン中その場にいるのは先生と私だけだから、安心して運動ができたんだと思います。幼稚園の頃なんか、人前で見られていると、歩くことすら難しかったので。でも本来は、動くことは大好きですし。だから本人は、「ここがいい!」とすぐに言っていました。
―― お母さんにとっても、本人にとっても、すぐにここに通いたいって思われたんですね。
お母さん そうですね。療育でも、集団だとなかなか通えないので。個別の関係性が一番大きかったのと、あとは好きなスポーツができる。「この子のためにここはあるんじゃないか」と思いました(笑)。
―― お子さんは、昔から運動が好きだったんですよね。
お母さん はい。小さい頃から毎日公園に通っていました。自転車もすぐに乗れたし、なわとびもすんなりできた。
6年生にお姉ちゃんがいるんですが、お姉ちゃんはどちらかというと頑張ってできるようになるというタイプ。でもこの子は、すぐにパッとできちゃう。
でも、そのせいか、「もうちょっとこうしよう」という工夫や、「もっとできるようになりたい」という面があまりなかったんです。
―― 自分の遊びのなかで、できる範囲でのみ体を動かしていた。
お母さん チャレンジがなく、どちらかというとストレス発散という感じでした。ストレスが溜まったのを、運動によって発散しているような。
―― レジスポでは、運動に「課題」として取り組んでいる部分もあると思いますが。
お母さん ここでは、まずは「自分で選べる」というのが良かった。この子は完璧主義な部分があり、失敗したくない、という想いがつよいんだと思います。だから、できそうなものからとりあえず選ぶ、というところからスタートできる環境が合っていたのかも。
―― レジスポを利用するときに、他のサービス(児童デイ、体操教室、ジムなど)を考えましたか?
お母さん 考えたんですけど、やはり本人が人との関わりに過敏で、集団のなかにいるのが苦手なので……
学校に行っているだけでも頑張っているのに、帰ってきてからもとなると、負担やストレスがすごく溜まっちゃう。ほかのものについては本人が、行きたくない、と。レジスポはいいけどって(笑)。
―― ここが、自分のトライの場でもありつつ、ストレス発散でもありつつ、という感じですかね?
お母さん そうですね。お姉ちゃんたちと遊んだりするときには、声も出るし、バドミントンをしたりして活発に遊んでいるんです。そういうリラックスできる場所を見つけて、その環境を大事にしていったほうがいいなと思っています。
―― そのようなリラックスできる環境があるからこそ、集団にも入っていけるのかもしれないですね。
お母さん それはあるかもしれません。幼稚園のときは、学校に行くのをいつも嫌がっていました。
でも、だんだんと彼女のことを理解できるようになって、彼女がやりやすい方向に、と考えるようになった。すると、1年生になってからは「行きたくない」と言うこともなくなったんです。
学校の先生たちもいい対応をしてくれて。環境に恵まれてるんだと思います。
―― みんなが協力して、本人の力を伸ばしていく。まさに「レジリエンス」ですね。利用するときに不安だったり、迷ったりしたことはありますか?
お母さん 利用しはじめてしばらくしてからなんですが、ある程度自分で選んだものをできるように、こなせるようになって、そしたら「準備運動はやりたくない」などという態度が出てきた。「これはやりたいけど、準備運動はイヤ」みたいな。
そのときに、ここからどうすればいいの? と少し不安になりました。次はどこに進めばいいの?と。自分が選んだもの以外にもチャレンジさせてみたい、という想いがあったんですが、どうやってやっていくのかがわからなかった。
でも先生たちの声かけや関わり方で、他の種目にもトライしてみたり、少しずつイベントや小集団に入っていくこともできてきています。
きっと、一気にじゃなくて、スモールステップだから良かったのかな。
―― 個別でもできるし、小集団でもできる、というのも、ここに通い続けている理由なんでしょうか。
お母さん そうですね。ちょっとずつ慣れる、ちょっとずつ増やす、そのなかで自信をつけていくという流れをうまく作れているのかなと思います。
あと、学校種目を選んで行ったりしているので、学校の体育の時間に、自信を持って取り組むことができているという側面もあります。
なので、ここに通っている大きなポイントは、ひとつは本人の特徴や特性と個別・小集団でのレッスンという相性がよかったという点。もうひとつは小学校生活を送る上で、すこしずつ自信をつくっていくことができるという点、ですね。
まさに、レジスポはこの子のためにあるような場所だと思っています。
―― どのくらいの期間で通っているんですか?
お母さん いまは月に3回で、イベントがあればそれに参加したりという感じです。
―― 2年前に通い始めた時と現在とでは、お子さんに変化は見られますか?
お母さん もう全然違いますね。前は人前で歩くことすら恥ずかしい状態でしたから。
いまは、療育ではないんですが、習い事もやっています。ピアノとダンス。
でもそれも、習い事も自分からやりたい、と言ってきて。
ダンスは、幼稚園でも全然できなかったのに。ピアノでは歌も歌ったりして。
まだネガティブだったり、完璧主義なところはありますが、チャレンジする気持ちが育っているんだと思います。
―― すごい変化ですね。家庭でもなにか工夫されたり?
お母さん 彼女はストレスが溜まりやすいので、家ではストレス発散を心がけています。お風呂ためてゆっくり浸かったり、猫カフェに行ったり、自然の中で散歩したりとか。
―― 本人にとって、心地よく、トライできたりする環境があることで、頑張りたい、もっとできるようになりたい、という想いが生まれてきているんですね。そして、そのことをまわりが喜んでくれるという、いい循環が起きている。
お母さん はい。緘黙もあるので、思っていることを言うのが苦手なんです。
幼稚園のときは、私にすらなにも言えなかった。
でも最近は、何に困っているのか、しっかり伝えることができるようになった。なので、いまはめっちゃ言います(笑)。
聞いてみると、彼女が困っていることは、意外とちょっとしたことだったりするんです。こんなことで悩んでたんだって。それならすぐ解決できるよって。
―― 本人の想いを受け止める環境をつくった。
お母さん はい。言ったら助けるから、ちゃんと言ってね、って。
―― レジスポ職員の対応などについてはどうですか?
お母さん 愛情を持って接してくれていて、本人もニコニコしてやっているのがありがたいです。
私自身も、先生たちからいろいろ教えてもらってます。「なわとびをどんなしてやったらいいですか?」とかって聞いて、それを家でもやってみたり。
―― オススメポイントや、逆に改善点・課題点などはありますか?
お母さん 運動って、がんばる力が必要じゃないですか。本人にとっては、自分で選んでいるから頑張れるという側面があるんだと思います。
彼女は運動が好きでしたけど、体の使い方が苦手な部分もありました。レッスンのなかでうまく体を動かすことができるようになることは大きいですね。
でももっと大きいのは、諦めない力とか、チャレンジする力を育てられること。それを楽しみながらできたら最高ですよね。
―― 課題点とかありますか?言いにくいとは思いますが(笑)
お母さん 小学生クラスが、予約が取りづらいというのが……(笑)。
でも、それだけ人気があるから仕方ないと思っています。
―― 今後のレジスポに対する期待・希望などありますか。
お母さん いま室内での活動がメインですが、もし屋外での活動で、体を大きく動かすようなこともあると、楽しそうだなと思います
彼女はネガティブだったり、プライドが高かったり、やっぱりまだまだ道は長いなとは思っています。でも、この2年でだいぶ成長している。なので、長いお付き合いになるとは思いますが、宜しくお願いします(笑)。
―― 長期的に継続的に関わりを持っていたい、ということですね。
お母さん あとは、最近彼女のなかに「もっと上達したい」という意欲が出てきている。いまはある意味でいろいろできちゃっている側面もあるので、もっと彼女の「本気」がでてくるようなかたちを引き出してくれるといいかなと思っています。
それから、先生たちからもっと話を聞きたいです。こうしたほうがいいよ、こういうのにチャレンジしてみて、こういうスポーツしてみたら?こういう療育つながってみたら?などと、この子のことをよく知ってる先生たちから見た意見をいろいろ聞いてみたいです。
自分の子どもだと難しく考えてしまったりするんですが、違う視点で気づける部分も多いので、それがあるとありがたいです。
あとは、同じ悩みを抱えているお父さんお母さんと、いろいろ共有できていったらいいな、と思っています。
※取材日:2019年11月18日
【取材・構成 兼島拓也(Narrative and Dialogue)】