ご利用者様インタビュー:知念さん

小学1年生のお子様をレジスポに通わせている知念さんに、お話を伺いました。
ひとつひとつ、とても丁寧に、お子様の様子を振り返っていく様子が印象的でした。

 

―― いくつか基本的なことがらを聞きたいのですが。お子様の学年についてお聞きしてもよろしいですか。
お母さん 小学校1年生の男の子です。公立小学校の支援学級に通っています。
―― レジスポに通われたのはいつ頃からですか?
お母さん もう2年くらいになるのかな。月に3回ほど通っています。
―― レジスポを利用する前のことについてお聞きしたいと思います。もともと体を動かすことについてどうでしたか。
お母さん 体を動かすこと自体は好きだったんですが、どういうふうな体の使い方をしたらいいのか本人もよくわからない部分があったみたいで。公園で遊んでいても遊具がうまく使えないし、わたしたちも一緒に縄跳びしたりボール遊びなどをしたりしたんですが、ボールをキャッチできないし、投げるのもできないし……という感じでした。多動で落ち着かず、走り回っていることも多く、体の使い方がわからないようでした。この子の動きを見ていて、どう教えてあげたらいいのかとても心配でした。
―― その「体の使い方がうまくできていない」というところから、レジスポの利用を考えたのでしょうか。
お母さん いま通っているデイサービスの方から紹介されたんです。個別で受けられるスポーツクラブがありますよ、と。
もともと何かないかなって探していたんですけど、なかなか、、、
集団の中でいきなりというのが、やはり付いていけないだろうし、話もうまくやりとりができないという状態だったので、一般のスポーツクラブとかだと難しいだろうな、と思っていました。
実際に、近くの福祉センターで行なっている子どもスポーツクラブの見学と体験をさせてみたんです。年齢の近い子が10人くらいいて、みんなでボールやフラフープなどをしていたんですが、まったくそこについていけなくて。一人だけ脱線して、今やる課題から他のところに目移りしてしまって。そのとき、いまはまだまだそこにいくレベルじゃないんだな、難しいんだな、って。ほかにはスイミングなども考えていたんですが、そこも厳しいかな、と思って。
そういう時に、こういうところあるよ、とレジスポを教えてもらって。それで見学にきて、すぐに決めました。先生と一対一で個別に関われて、その子にあった課題で、その子にあったペースでできる、という内容がよかったですね。
―― その後レジスポに通われるようになったわけですが、実際に通い始めるといろいろ気になる部分もあるかと思います。とくにレジスポは個別や小集団でのレッスンなので、たとえば担当の先生や他の子どもとの関係性なども気になったりするのかなと。
お母さん ここは、子どもが好きな種目を選ぶじゃないですか。こだわりが強い子なので、同じものばかり選んで、同じことばかりしちゃうんじゃないかなと思って気になっていました。
実際にそういうこともあったのですが、それが2〜3回続いたときに、わたしから先生に話をして、先生も「じゃあこれは見せないようにしてやってみますね」と柔軟に対応してくれて。そうやって話をしながら進められたのはよかったですね。
ただ、一時期、個別の準備体操だけで終わってしまうということも続いたんです。
本人が準備体操すらまともにやらなくって、意識が落ちちゃって、ふざけてしまうような感じで。レッスンに来ても、実際の課題に入れないというのが続いてた時期があったので、結局何しに来てるんだろう、、、と迷うこともありました。
そのときに、小集団のレッスンもある、というので参加させてみたら、他の子が一緒にいることでいいモデルになったようで、一緒に頑張ると本人にもやる気が出てきたみたいで。
なわとびやとびばこの小集団でのレッスンに参加するようになってから変わってきましたね。
一緒にやっているお友達が良いお手本となり、それを真似してやるんですよね。それが一番良かったんでしょうね。わかりやすくて、刺激ももらえて。
また、自分が上手にできなくても、他の友達に「がんばれー!」と応援できる姿もあり、とてもうれしく思いました。
―― 実際に通いはじめる前と後で、お子様の運動に取り組むときの状態や姿勢などに変化はありますか?
お母さん 興味の範囲が広がったかなと思います。遊具にしても、いままで興味も示さなかったジャングルジムやロープはしごなど、身体を使う、難しそうなものでも、自分から挑戦してやろうとするようになりました。
―― もともとはそういうのを怖がったりしてたのですか?
お母さん 興味もないし、近づこうともしない。それはなんだったんだろう……。自分ができるとも思わなかったのかな。
レジスポでいっぱい身体を使うじゃないですか。大きなエバーマットを登ったりとか、そういうふうに自分の体の使い方がわかってくるようになると、自然と自信につながってきたんですかね。
―― その自信であたらしいこととか、いままでできなかったことにトライするようになったんですね。
お母さん そうですね。自分で目標をもって取り組む姿が見えるようになりました。たとえば、5回連続で跳ぶこともできなかったなわとびを、自分から「10回とぶ!」と宣言して、地道にコツコツと取り組むようになって。そうすると、1ヶ月で20回以上跳べるようになりました。
―― 運動以外のことでも変化とかありましたか? 日常生活の中とか。
お母さん いまもうひとつ通っているデイサービスがあって、そこはわりとキチッとしているところなんです。こことはある意味真逆といってもいいかもしれないんですが。
そこでは、以前は何をするにも、「難しいからできない」というふうに消極的な言動が多かったんですが、それがすこし減ってきたかなと思います。
「できないよ」って最初は言いいながらも、「こうやってやるんだよ」って見せたり、「レジスポでこうやってやったよね」って声をかけたり、ちょっとしたヒントというか、思い出させる。こういう経験あったよね? って。そういうふうな示し方をすると、思い出して、「ああそうか!」って感じでやれるようにはなってきました。
―― 学校や友達関係などはどうですか?
お母さん もともと友達と遊ぶことが大好きなので、学校では休み時間とか、積極的に話しかけておともだちをつくり、楽しく過ごせているようです。
いま体育の時間でマット運動を課題としてやってるそうなんですが、この子は正直あまり上手ではないんです。でもそれでも、全然へこたれないというか、やることが楽しいみたいで。
普通、自分があまり上手じゃないことって、「嫌だ」ってなりそうじゃないですか。でも、そういうのがなくなってきました。お友達と一緒にやるっていうのが楽しいみたいで。やっぱりそこって、レジスポでお友達とがんばってできた成功体験があるからだと思います。
―― レッスンでの先生たちの指導や対応について、どのような印象ですか?
お母さん 先ほどもこの子は同じ課題にこだわってしまうと話しましたけど、そのこだわって選んだものに対しても、様子を見ながら、うまくその道具を使いながら違うパターンで取り組むように工夫してくれるところとか、そういうのがすごい上手だなって思いますね。
自分からはチャレンジしない種目だと、そういったとき本人は、よくわからないままやりはじめるんですけど、先生が遊びを入れながら上手にやるので、「あ、こうやって使うんだ」ってわかるとすごく楽しんでやるんです。そういうのを見ていると、させ方、やり方で子どもってこんなにできるんだって発見できる場面がたくさんありました。
―― 逆に、こういうレッスンをしてほしい、というような要望もありますか?
お母さん 先ほども話しましたけど、この子の場合は準備体操ですんなりいかないことも多くて、先生を試して遊んでしまう部分もあったりするんです。それが何度か繰り返されると、たとえばバランスボールだったら、ボールに寝そべって身体を伸ばして動くとかあるんですけど、それをわざとひっくり返ったり、ってことをやるんですよ。そういうパターンが続くと、何度もそれを繰り返してしまう、というのがこの子の特徴なんですね。これも障がいの特徴なのかもしれないんですけど。結構このパターンを崩すのが大変で。お家でもよくあるんですけど。
そういうときって、まったく違う、本人が予測しないプログラムをポンって入れちゃうと、自分が予測しないものだから相手に合わせるしかないというか、どう動いていいか自分でわからないし、その先生の指示をよく聴くようになってうまくいく、ということもあると思うんですね。
そういうふうなことが準備体操でも続いていたら、逆に準備体操じゃなくて、最初からちがうものを提案してやってみてほしいなっていうのもあったりします。
―― レッスンを毎回ちがう先生が担当することについては、どう感じていますか?
お母さん 担当制ではないことで特定の先生に固執することがなく、とても良い取り組みだと思います。
でもこの子の場合、その先生がまったくはじめてのときは、かなりふざけますね(笑)。ふざけすぎて「こんなだったら帰るよ」って怒ったこともあります。結構これが続いたりもします。だからいかにその場面を切り替えさせるか、っていうのがミソなんですよね。あまりこの子に合わせ過ぎると、「もう自分の好きなことやっていいんだ」って自分のペースにはまっちゃうので。そうすると結構戻しが効かないというか、切り替えできないモードに入っていっちゃうので。いかに遊びを入れつつ切り替えさせるかっていうのが難しさではあるんですが。
―― その部分をもっと取り組んでもらえると、お子様にとってもいいのではないかってことですね。
お母さん はい。そうですね。
―― レッスンに限らず、レジスポに対する今後の期待とか要望とかは
お母さん レッスン以外の行事に、あまり参加できていなくて、参加したいなーと思うものはいくつかあるんですが。受給日数などの関係で行事等への参加も限られている部分があるからかな。そういうのに関係なく、参加費を別途設けてもいいので、別枠で気軽に参加できるようなイベントなどが、あればいいなと思います。
―― 今後、レジスポを利用していく中で、どういったことをお子様が獲得していけたらいいなと思いますか?
お母さん スポーツに興味を持って、なんでもチャレンジできるようになっていってほしいですね。この子は集中力があまりないので、持続していける力を養っていけたらいいなと思うんです。だから、体をコントロールする力を育てて、集中力・持続力を高めていけたらと思います。
―― 本日はありがとうございました。
お母さん ありがとうございました。
※取材日:2020年6月15日
【取材・構成 兼島拓也(Narrative and Dialogue)】